強迫性障害

強迫性障害とは

強迫性障害とは

強迫性障害は、通常はおかしなことだと思いながらも、ある考えが頭の中で繰り返し浮かび、それが離れずに頭を悩ませます。この思いを拭い去るために、何度も同じ行動を繰り返してしまいます。たとえば、外出時に「玄関の鍵をかけたかな?」と心配になり、鍵がかかっているか再度確認するために玄関に戻った経験がある方もいるでしょう。しかし、強迫性障害の場合、その確認行為が過剰になり、たとえ一度確認した後でも、すぐにまた確認しに戻り、その結果として仕事に遅刻したり、家族に確認をさせるようになったりするなど、日常生活に影響が出ます。
強迫性障害には、「強迫観念」と「強迫行為」があります。強迫観念とは、繰り返し浮かんでくる頭から離れない考えのことです。たとえそれが不合理だと認識していても、消すことができません。一方、強迫行為は、強迫観念から生じる行動で、本人が無意味だと思っていても、その行動を止めることができません。「考えずにはいられない」「行動せずにはいられない」と感じることで、精神的にも身体的にもつらくなることがあります。このような状況に対して不便を感じたり、生活に支障が出たりする場合は、精神科や心療内科の専門医に相談することをお勧めします。

強迫性障害の原因

強迫性障害は、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさることによって発症すると考えられています。脳の中の特定の場所は関係しているなどの研究もありますが、はっきりとして答えは出ていません。

強迫性障害とストレスの関係

日常的なストレスの蓄積も、強迫性障害の症状を悪化させる原因の一つとされています。個人の元々のこだわりの強さや、社会的適応に関するストレスが強迫性障害を引き起こし、症状を悪化させる原因になることがあります。

強迫性障害になりやすい人・タイプ

強迫性障害になりやすい性格的傾向としては、几帳面、神経質、こだわりの強さが挙げられます。また、物事に対して否定的な感情を抱く傾向や回避行動を繰り返すパターンも、強迫性障害の発症に関連しているとされています。

強迫性障害の症状

以下は代表的な症状であり、個人によって異なる症状が現れることもあります。

不潔恐怖と洗浄強迫

不潔であることに対する心配や不安から、必要以上に手を洗ったり、入浴に過度に時間をかけたりします。また、ドアノブや手すりなど、日常生活で触れる必要がある物にも触れることを避けることがあります。

確認行為

戸締まりやガス栓が閉まっているか、電気器具のスイッチが切れているかを何度も確認してしまいます。指差し確認や、何度も同じ場所を見てしまうこともあります。

加害恐怖

誰かに危害を加えてしまったかもしれないという不安が頭から離れず、新聞やテレビで事件や事故が報道されていないか確認したり、警察や周囲の人に尋ねたりします。例えば、駅で実際にはぶつかっていない人が転倒したのではないかと心配し、駅員に電話をかけたり、現場に戻って状況を確認しようとする場合があります。

強迫性障害の治療

強迫性障害の治療は、薬物療法と行動療法の組み合わせで行います。

薬物療法

お薬の治療では、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬が使用されます。高用量での治療が必要な場合もあり、副作用に注意しながら使用します。補助的に抗不安薬が使われます。

行動療法

精神療法は行動療法が中心となります。行動療法では、不安を感じる場面にわざと自分を曝し、生活を妨害している行動を行わないようにし、実際には本人が心配している出来事は起こらないことを体験し、反復して訓練する方法です。
薬物療法と行動療法を組み合わせることで、強迫性障害の症状を軽減し、生活の質を改善することが目指されます。