全般性不安障害とは

不安とは、対象のない恐れと定義されます。人が生活していく中で不安は、危険を予測し、身を守るために必要な感情です。しかし、この不安が過剰になると、危険ではない状況でも恐怖として感じられ、日常生活に支障をきたします。たとえば、本人や家族が病気になるのではないか、事故に遭うのではないか、地震や火事が起こるのではないかといったさまざまな心配事が、不吉な予感とともに不安として現れます。こうした不安により、本人は自分ではどうすることもできないことについて深刻に悩み続けることになります。この結果、頭痛、動悸、めまい、肩こりといった体の不調や、集中力の低下、イライラ感、不眠、抑うつなどの精神的な症状が現れることがあります。日常生活で予想されるさまざまな出来事に対する不安を訴えるため、本人や家族はしばしば自分を「心配性だ」「ちょっと考えすぎる性格だ」と思ってしまうことが少なくありません。
全般性不安障害の症状
- 些細なことで不安になる
- 大したことじゃないのに悪い結果ばかり考えてしまう
- 不安で胸が詰まったような感じがする
- 失敗したらどうしようとずっと考えてしまう
- 何をしても心の中がざわざわして落ち着かない
- さまざまなことが不安になる
- 理由なく不安がある
- 不安をコントロールすることが難しい
- イライラする
- 集中力がない
- いつも何か心配事が頭から離れない
- 常に緊張している
- いつも緊張して肩や首が凝っている
- 疲れやすい
- 不眠がある
など
全般性不安障害の原因
脳の扁桃体という部分の機能異常が関与しているとも言われていますが、具体的な原因は明確にはわかっていません。不安を感じやすい元々の性格や素因、幼少期の生育環境などの環境要因、またストレスによる自律神経の不調が関係しているとも言われています。
全般性不安障害は決して珍しい病気ではありません
全般性不安障害は決して珍しい病気ではなく、不安障害の中では比較的一般的なものです。患者さんはやや女性に多く、多くの世代でみられます。
全般性不安障害になりやすい人・タイプ
全般性不安障害になりやすい性格の特徴としては、心配性、過敏性、完璧主義などが挙げられます。また、脳の一部の機能不全が原因となり不安感情が引き起こされることや、遺伝的要因も関与しているとも言われています。
全般性不安障害の治療
他の不安障害と同様に、お薬の治療と行動療法を組み合わせて行います。
お薬での治療
抗不安薬、抗うつ薬のるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などが使用されます。抗不安薬は生じた不安や体の症状を軽減し、SSRIやSNRIは不安が発生しないように治療します。
心理療法
心理療法では支持的精神療法やセルフコントロール法などを組み合わせて行われます。また困っている症状に対しての行動療法を行いながら治療する場合もあります。行動療法では、不安が過剰になっている原因が、実際に起こる心配事ではなくその認識そのものであることに気づくことが促されます。