働く人のメンタルヘルス

働く人のメンタルヘルスについて

働く人のメンタルヘルスについて

メンタルヘルスの問題は、間違った対応をしてしまうと、かえって症状がこじれ、回復までに長い時間がかかることがあります。その結果、ご本人だけでなく、職場にとっても大きな損失となるリスクが高まります。
まずは専門の医師に相談することが、解決への第一歩です。
当院では、産業医の資格を持つ精神科医師が在籍しています。お一人おひとりの状況に応じて、できるだけ早い復職・再就業に向けた適切なサポートをご提供します。

職場・仕事が原因で心がつらい方へ


今、あなたの心を覆っている悩みは、どのようなものでしょうか。

  • 職場の人間関係がうまくいかず、会社に行くのが怖い
  • 上司からのハラスメントで、顔を見ると体がこわばってしまう
  • 職場でいじめを受けているが、誰も助けてくれない
  • 解雇や派遣切りで経済的に困窮し、家賃も払えない
  • 病気で働けず、生活の見通しが立たない
  • 家族に迷惑をかけてしまって申し訳ない。生きる価値がないと感じてしまう

そのようなつらい気持ちを、言葉にして相談してみませんか?話すことは、暗いトンネルから抜け出すための第一歩です。
どうか、ひとりで抱え込まずにご相談ください。

働く人がメンタルヘルス不調をかかえる原因

働く環境や状況が原因でメンタルヘルスに不調をきたすことは少なくありません。過重労働やハラスメントはその代表的な要因です。以下では、それぞれの原因とその影響について説明します。

過重労働によるメンタルヘルス不調

過重労働によるメンタルヘルス不調

過重労働は心身に大きな負担をかけ、特に深刻なのが「睡眠不足」です。睡眠はメンタルヘルスにおいて非常に重要な役割を果たしており、睡眠時間が不足すると、ストレスや不安感、抑うつ症状が悪化することが多くあります。
過重労働は社会問題としても深刻で、労災申請や認定件数が増加しています。仕事の負担が大きすぎると、食欲や意欲の低下、生活リズムの崩れが起き、メンタルヘルス不調へと繋がります。そのため、十分な休息と適切な労働時間管理が重要です。

ハラスメントによるメンタルヘルス不調

ハラスメントによるメンタルヘルス不調

ハラスメントも、職場での精神的健康を損なう大きな要因となります。厚生労働省が2020年に実施した調査によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたと回答した方は31.4%にのぼります。以下のようなハラスメントに該当する言動を受けたことがある場合、その影響は深刻です。

セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントは、相手の意に反して性的な言動が行われ、それを拒否することによって不利益な扱いを受けたり、職場環境が不快になったりするものです。具体的には以下のような行為が含まれます。

  • 性的な発言や行動
  • 性的関係を強要すること
  • 不必要な身体的接触や、交際を強要する行為

セクシャルハラスメントを受けたことで仕事に支障が出ることは決して許されません。心がつらいと感じた場合、ぜひ当院での相談をお勧めします。

パワーハラスメント

パワーハラスメントは、職場での地位や立場を利用して、必要以上に精神的・身体的苦痛を与える行為です。以下のような言動が該当します。

  • 殴る、蹴るなどの身体的暴力
  • 公共の場での人格攻撃や侮辱的発言
  • 職場で孤立させる行動
  • 脅迫的な言葉や不適切な指導

このような行為が職場で行われると、メンタルヘルスに深刻な影響を与えます。もし、このような状況に身を置いているなら、早期に対処することが重要です。

モラルハラスメント

モラルハラスメントは、道徳的・倫理的に不適切な精神的虐待や心理的攻撃です。これには以下のような行為が含まれます。
モラルハラスメントは、必ずしも上司と部下の関係に限らず、同僚間であっても発生することがあります。対等な立場にいる者から受ける精神的な攻撃も、十分な配慮が必要です。

  • 容姿や人間性についての否定
  • 他者から個人への、不適切な圧力
  • 過度の侮辱や批判
  • 過度な詮索
  • 無視や仲間はずれ

マタニティハラスメント

マタニティハラスメント(通称:マタハラ)は、妊娠・出産・育児に関連する制度を利用する際に、職場で受ける不適切な言動や行為を指します。このようなハラスメントは、女性が職場でのキャリアと家庭のバランスを取ろうとする中で生じることが多く、企業にとっても改善が求められる重要な問題です。
従業員の体調や状況に関すること: 妊娠初期のつわりや体調不良に対して、「仕事に支障が出るからもっとしっかりしてほしい」「休みが多いと迷惑」などの発言が行われることがあります。

妊娠・出産・育児に関する制度の利用を阻害する言動
育児休暇や産休を取得しようとすると、「このタイミングで休まれると困る」「あなたが休んだら仕事が回らない」など、制度の利用を避けるように強調する言動です。

妊娠・出産・育児に関する制度の利用による嫌がらせ
産休や育休を取得したことによって職場で冷遇される、出産後に仕事を復帰した際に業務負担が過度に増す、または評価が不当に低くされる場合などです。

妊娠・出産したことにより、解雇その他の不利益な取り扱いを示唆する言動
妊娠や出産を理由に解雇をほのめかす、あるいは降格や給与減額を示唆するような発言があります。これもマタニティハラスメントに該当します。

パタニティハラスメント(育児休業に関連するハラスメント)

パタニティハラスメントとは、男性が配偶者の妊娠・出産・育児に関与する際に、職場で受ける嫌がらせを指します。特に、男性社員が育児休業を取得する際に、以下のような嫌がらせが行われることがあります。

  • 育児休業を取得した男性社員に対する不当な扱いや差別的な言動
  • 配偶者の妊娠や育児に関連する制度の利用に対する妨害や圧力

社会通念として「妊娠・出産・育児は女性の役割」という考え方が根強く存在しているため、男性の育児に関するサポートはまだまだ不十分なことが多いです。そのため、パタニティハラスメントはなかなか表面化しづらく、認識や対策が求められています。

時短ハラスメント(ジタハラ)

時短ハラスメントとは、従業員に対して業務の長時間化や残業を強制せず、逆に定時退社を強要することによって発生する不適切な行為です。これにより業務が未完了でも退社を強制され、仕事を後回しにすることでモチベーションの低下が引き起こされる可能性があります。

  • 仕事が終わっていないのに、上司から退社を強制される
  • 定時退社を求められた結果、残業時間を有効に活用していた社員が不利益を受ける
  • 定時を過ぎても業務に取り組んでいる社員に対して、強制的に退社を促すこと
  • 労働時間短縮の強要

労働時間短縮の強要は、業務量を根本的に改善せずに、定時退社を強要することです。これにより業務の遅れや仕事の後回しが生じ、結果的に従業員のモチベーションや生産性が低下する可能性があります。

アカデミックハラスメント

アカデミックハラスメントは、大学や研究機関などの教育現場において、権限を持つ立場の者(教授や研究者)が、他の職員や学生に対して行う精神的または肉体的な嫌がらせです。これはパワーハラスメントの一種として位置付けられていますが、特に教育機関内で発生するものです。

学習・研究活動の妨害
学生や研究者が行っている研究や学習を不当に妨げる

研究成果の剥奪
他人の研究成果を自分のものとして発表する

指導義務の放棄や差別
指導者が自分の役割を果たさず、学生を差別する

卒業や進級の妨害
不当な理由で卒業や進級を妨げる

選択権の侵害
学生に不公平な選択肢を押し付ける

不合理な経済的負担の強要
学生や若手研究者に不当に高い経済的負担を強いる

休職・復職の手続き

休職・復職の手続き

休職を決断した場合、いくつかの手続きが必要になります。スムーズに進めるためには、事前に確認しておくべきことが多くあります。

就業規則の確認

休職に関する規定は企業ごとに異なるため、まずは就業規則を確認することが大切です。特に、休職期間や給与の取り決めなどを把握しておく必要があります。

診断書の取得

休職を申請するためには、医師からの診断書が必要です。診断書には、休職の理由や期間、回復の見込みなどが記載されます。

会社への書類提出・面談

診断書を持参し、会社に必要な書類を提出します。これに加えて、上司や人事担当者との面談が求められることがあります。

傷病手当金の申請

休職中に生活を支えるために、傷病手当金を受け取ることができる場合があります。これには、社会保険への加入が条件となります。手当金の申請方法を事前に確認しておくことが重要です。

休職中の連絡方法の打ち合わせ

休職中にどのように会社と連絡を取るかを事前に話し合い、無理なく連絡が取れる体制を整えておきましょう。

休職可能期間

企業ごとに規定された休職期間は異なりますが、一般的に3ヶ月~3年の間で設定されていることが多いです。特に、勤続年数によって休職可能期間が異なる場合があるため、自分の勤務先の規則を確認しておくことが大切です。

給料の有無

休職中に給与が支払われるかどうかは、企業の規定によります。基本的には休職中は給与が支払われませんが、一定割合の給与支給を定めている企業もあります。また、傷病手当金が支給される場合もあるため、社会保険に加入していることが前提となります。

社会保険料の支払い

休職中でも社会保険料の支払いは免除されません。傷病手当金から天引きされる場合や、会社が立て替えることもありますので、就業規則を確認しておきましょう。社会保険料の支払い方法についても、会社と調整する必要があります。

休職期間満了後の対応

休職期間が終了した際、症状が改善している場合は復職のための手続きを進めますが、回復が見込めない場合には休職期間の延長が可能かどうかを確認します。もし復職が難しい場合は、退職や解雇のリスクもあるため、事前に就業規則をよく理解しておくことが重要です。

休職中の連絡方法

休職中、会社との連絡方法は非常に重要です。無理なく進められるよう、連絡担当者(上司や人事担当者)や、連絡方法(電話、メール等)、頻度について、あらかじめ話し合っておくことが推奨されます。もし自分が直接連絡を取ることに負担を感じる場合は、ご家族に代わりに連絡を取ってもらうことも一つの方法です。

復職に向けたサポート

復職に向けては、医師の診断に基づき、無理のない範囲で回復を進めることが重要です。また、職場での環境調整や、仕事の負荷を考慮しながら復職を目指します。復職後は、無理なく仕事に戻れるよう、段階的に業務量を調整することもあります。

当院の特徴

診断書

診断書

働く方々にとって、休職や業務内容の調整、保険申請などで診断書が必要な場合があります。当院では、病状的に休職が必要と判断される場合、出来るだけ早く診断書をお渡しできるよう心がけております。急を要する場合でも、スピーディに対応いたします。

復職支援

精神疾患は、他の病気と同じように適切な治療を行えば改善していきます。休職中の方も、症状が改善すれば復職が可能です。ただし、治療から職場復帰へ突然移行するのは、再発のリスクを高めることがあります。当院では、焦らず準備を進め、スムーズな復職ができるようサポートを行います。
職場復帰に向けては、セルフケア方法を身につけ、職場との連携が重要です。これらを一緒に進めていくためのサポートを丁寧に行っています。

休職面談

休職を考える中で不安を感じている方々に向けて、休職中の不安、復帰後の適応、職場環境の心配など、気になることをお聞きし、状況に合わせたサポートを提供します。療養の行方や再発に対する不安を解消し、次のステップへ進むための心強い支援を行います。

産業医が診療

産業医が診療

仕事上のストレスや人間関係の悩みが原因で精神的な不調が現れることがあります。こうした状況では、カウンセリングや心理療法といった精神療法的アプローチが有効です。さらに、当院の医師は産業医の資格もあり、職場の状況にも理解があります。そのため、きめ細やかな対応で、患者さん一人ひとりのニーズに応じたサポートが可能です。